Windows標準フォントの”今”

Windows標準フォントについて、かなり昔の情報が出回っており、かつMicrosoft公式のページが検索でトップヒットしないことから、この記事を書きました。
この記事の初版・更新日はタイトル下に表示されている通りです。
急いで書いたので、誤りがある場合はTwitterマシュマロから指摘ください。直します。

Windows標準フォントに関するライセンス

Microsoft公式がライセンスについて記載したドキュメントがあります。
案内部分は日本語になってますが、コンテンツ自体は未翻訳のままなので英語で表示されます。
現在は「2017/10/27」と記載があります。
https://docs.microsoft.com/ja-jp/typography/fonts/font-faq

このドキュメントは「游明朝」「游ゴシック」の開発元である字游工房からリンクされています。
https://docs.microsoft.com/ja-jp/typography/fonts/font-faq

Microsoft公式のページが英語原文のみということもあり、日本語で検索すると、このページが公開される以前に書かれたブログ記事が上位でヒットしてしまいます。
最近更新された記事も、よく読まれているようならばヒットしますが、複数ページを参照する人は「どっちが正しい情報なの?」と混乱してしまうと思います。

今回この記事で私が言いたいことは、「ここに! Microsoft公式のドキュメントが! あるので! 公式の声明を読め!」ということですが、長いし英語だしなので、次項で雑に翻訳しました。
翻訳のプロじゃないので雑です。
この記事の内容が信用出来ない人は原文を読んでください。

ライセンス原文からの抜粋

参照されそうな項目で。他にもあるので原文読んでください。
見出しだけ原文引用しています。(ここは多分変更されないので)

一般的な質問(General questions)

  • 印刷物(print from Windows)
  • 「非商用ライセンスのアプリを使っている」のでなければ、印刷物については制限しない。

    日本語訳がややこしいので解説+αを書きました、不要なら飛ばしてください。

    原文
    Unless you are using an application that is specifically licensed for home, student or non-commercial use, we do not restrict you from selling the things you print and make using the Windows-supplied fonts.
    直訳文
    あなたが明示的に家庭用、学生用、または非商用としてライセンスされているアプリケーションを使っているのでなければ、我々はあなたがWindows提供のフォントを使用して印刷・製作したものを販売することを制限しない。

    まず、後半部分が結論となります。
    「Windows付属のフォントを使用した印刷物の販売は制限しない」
    つまりOS的には、印刷物に関してはWindowsのフォントを使ってもOKということです。
    前半のUnless~use,までが使用条件です。
    「アプリケーションが非商用って決まってたら、アプリのライセンスに従って」ってこと。

    何故こんな回りくどい文章なのかは、「specifically=明示的に」っていうのがポイントになるかと思います。
    推測ですが「商用の可・不可を明示していないアプリでの使用」までカバーすると、こう書かざるを得なかったんだと思います。

    Microsoftはおそらく自社製品の話をベースにこの文章を作っていると思いますので、「家庭用」とか「学生用」っていうのは主にOfficeの「Home&Student」や「Education」のことを言っています。
    この「Home&Student」「Education」はMicrosoftが「明示的に」「非商用用途」と定めています。
    あと「評価版」かな、これも確か非商用限定だったような。
    Office2010までは日本語版「Home&Student」が存在しません。海外版限定です。
    2016からは日本語版「Home&Student」は存在しますが、量販店で売られているのは「Personal」か「Home&Business」、もしくは「Office365」だと思いますし、プリインストールもおそらく前2つのどちらかなので、日本語版であれば、ここはあんまり関係ない気がします。

    「学生用」として販売されているアプリケーションでも、例えばAdobe製品は、商用利用が可能です。
    Windowsとしては「アプリケーションのライセンスに従ってね」ってことですので、Adobe製品はもちろんOKと考えられます。

    ところでMicrosoftが言ってる「商用利用」っていうのは、一体どういう規模の話なんでしょうね。
    海外でも「商用」の範囲って日本と同じように結構まばらみたいなので。
    海外の素材を購入する際も、「個人利用ね」「これくらいの規模だったら無料で使っていいよ」「特に制限しないから自由に使って!」みたいな感じで結構バラバラです。

  • グラフィックファイル(make graphic files)
  • ライセンスは印刷物と同様。
    =「非商用ライセンスのアプリを使っている」のでなければ、グラフィックも制限しない。

  • 会社のロゴ(make a company logo)
  • 「非商用ライセンスのアプリでを使っている」のでなければ、ロゴについては制限しない。

Webサイトの表示(Web)

  • そのWebサイトを表示するデバイス上で使用可能であれば、表示しても構わない。
  • Webフォントとしての使用は禁止
  • Webフォント(.woffなど)に変換するのはダメ
    Webフォントのセルフホスティングはダメ

文書埋め込み(Document embedding)

前提として、「フォントの再配布」は不可
「文書埋め込み」も再配布には当たるものの、以下を満たしている場合は例外的にOK。

  • 埋め込みについてはOpenType・TrueTypeのフォント仕様で定義されている規則と制限に従う
  • Microsoftライセンスフォントは「編集可能な埋め込み」OK
  • Microsoftサードパーティ製フォントは「印刷とプレビュー用として埋め込み」OK
  • サードパーティ製フォント:たとえばArialはMonotype製
    「印刷とプレビュー用として埋め込み」=「編集不可にする」
    WordでPDFを生成する場合でいうと「PDF/A準拠にする」がこれ。

  • 「印刷とプレビュー用として埋め込み」フォントが混在している時は「編集不可」にする
  • フォントが文書埋め込みを許可していること
  • フォント内部には文書埋め込みの可否についてのフラグが入っていて、ソフト側が文書埋め込み機能を持っていても、フォント側が埋め込み不可になってると埋め込まれない。

  • Word以外の文書データ、ePubなどはフォントの規則と制限に従う
  • ゲームやアプリ、デバイスへの埋め込みは不可
  • これらは何らかの方法でフォントデータが取り出せてしまうので、「再配布」に当たる。

  • ゲームやアプリ用にビットマップフォントにするのも不可
  • そもそもフォントデータの変換自体が不可
    ただしMonotypeやその他ベンダーがゲームやアプリ用のライセンスを提供しているかもしれないので、そちらを確認すること。
    (たとえばMonotypeについてはフォントワークスがMonotype LETSでゲームLETS拡張ライセンスというものを提供している)

  • ゲームやアプリ用に画像化して使うのはOK
  • 画像化=jpgやpng、gifにすること。

再配布および拡張権利(Redistribution and extended rights)

  • 文書埋め込み以外の再配布は禁止
  • Windowsからコピーして他のOSにインストールするのはダメ
    フォントデータを別の形式に変換するのもダメ

  • フォントデータの改変は禁止
  • 埋め込みや再配布をしない、家庭内での私的な利用でも禁止

原文に書かれてないこと

この項目は原文に書かれていないことを想像で書いていますので、「ちゃんと示されていなければダメだ」って人はフォントのプロパティのライセンスのところを見る、各フォントベンダーに問い合わせるなどしてください。
責任は負いかねます。自分で調べて。

  • アウトライン化するのはどうなの?
  • 画像にはjpgやpngの他に、ベクターグラフィックであるepsやsvgなどがあります。
    フォントベンダーのライセンス可否の表で「アウトライン化して使用」がこれ。
    Monotype LETSのライセンスを例にすると、ゲーム内で「アウトライン化」での使用は通常ライセンスではNGで、拡張ライセンスならOK。
    Windows標準フォントもアウトライン化でゲームやアプリに埋め込むのは多分ダメ。
    (アウトライン化だとゲームデータからアウトラインデータを抽出してそのままフォントデータに出来るので、実質フォントデータを再配布してるようなもんだからだと思う)
    グラフィックとしての使用なら多分OK。

  • 文字の加工について
  • グラフィックを作る場合については「制限しない」なので加工もいいと思う(Wordでワードアート出来るくらいだし…)
    フォントをベースにフォントの見た目を変えてフォントとして配布、は「フォントの改変」なのでダメ

  • 動画に使っていいの?
  • 動画からフォントデータが抜き出せないなら大丈夫だと思う

間違えそうなこと

「HG~」系は「Windows標準」ではなく「Office標準」のフォントなので、ライセンスは「HG~」系フォントに記載のライセンス適用。
具体的にはリコーライセンスで、「非商用利用に限り使用可」なので注意。

何故ライセンスに関する記述が記事によって異なるのか?

(過去に調べた段階での話ですが)Windows内に入っている「license.rtf」の記述がはっきりしてなかったからなのかなぁという推測。
最初のMicrosoftのページがいつから存在しているのかが不明だし、今の記述になったのもいつからなのかが不明。
過去に私が游明朝のライセンスの話を調べていた段階(2015年)では既に存在していた可能性があるので、2015年には「ページは」あったかもしれない、でも「今の記述だったか」は不明。
2015年時点ではMicrosoftコミュニティのスレッド上ではWindowsバンドルの游明朝(当時は字游工房ライセンス)は商用利用は避けた方がいいという見解だったので、Microsoftライセンスになっていないものも同様に思われたかも。

游明朝について調べたログ

Togetterにまとめてあります。初版2015年、更新2017年、最終更新2019年。
游明朝のライセンスがはっきりしなかった時のものです。
現在は游明朝はMicrosoftライセンスになっており、上記のルールに則って商用利用可能です。
游明朝/ゴシックが配布開始されてたので改めて商用利用の可否を調べた

フォントのライセンス

Windows標準フォントに限ったことではありませんが、フォントのライセンスは「使用時点でインストールされているフォントのバージョンのライセンス」が適用されます。
気になる場合は念のため「使用時点でインストールされているフォントの」ライセンスを確認しましょう。
(游明朝のライセンスの件はありますが、基本的にちょこちょこ変わったりするものではない…と思います…)

さいごに

再度言いますが、急いで書いたので間違いについては指摘ください
マシュマロおいときます

更新履歴メモ
2019.02.28:初版
2019.03.02:一般的な質問>印刷物の項をわかりやすく書き直し