booknext文字見本帖レビュー

みなさまこんにちは、アカツキユウです!
2022年もよろしくお願いします!

てなわけで2022年最初の記事はこちら、booknext(栄光)の文字見本帖レビューです!

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書体見本帖とは


※2022.01.22現在、一時的に販売停止中。再開は1/26と告知されています

booknextの書体見本帖がリニューアルして通販に登場!
書体見本帖の名の通り、複数のフォントを使って小説を組んでみた見本が収録されている本です。
これまでオンデマンド版のみでしたが、新たにオフセット版が追加されました。
1冊550円、2冊セットで1,100円、送料無料。
更に「小説作り方マニュアル」が無料でついて来る太っ腹ぶり。
えっ2冊セット1,100円送料無料でいいんですか?
1.24追記:2冊で550円と記載しておりましたが、正しくは1,100円の誤りでした。大変申し訳ございません。

栄光/booknextさんは近年小説同人誌にすごく力を入れています。
配布していた小説本文用テンプレートを刷新したり、booknextではセミオーダー表紙のセットを充実していたり、選べる用紙も小説本向けを揃えてきたり…って感じです。
本気だ………。

話は逸れますが、セミオーダー表紙のサンプル帳もとっても良いので、是非買っていただきたく……
と言いたいところなんですが、現在SOLD OUTだそうです(第一弾もSOLD OUTです…)
もしかして第三弾も出るのかな~出るなら買っちゃうな~~~~
デザインが本当にめちゃくちゃいいのです、是非是非。
『booknext 表紙デザインブック』 第2集 – 木製グッズ・スタンド|ハンドメイドショップmoku×moku

本の仕様

それでは内容を見てみましょう。基本的には通販ページに記載されているものをそのまま読んで下さい…と言いたいところですが、ある程度は書いておきましょう。

オンデマンド版とオフセット版の、本の内容自体は一緒です。
但し、本の仕様が異なります。

◆オンデマンド版
表紙:しこくてんれい しろ
本文:書籍用紙 淡クリーム 90kg

◆オフセット版
表紙:OKミューズきらら ホワイト 170kg
本文:書籍用紙 淡クリーム 62kg

ポイント

この資料3冊で最も重要な点は、印刷所の発行物であるということです。
しかも、小説本で最もよく使われている制作環境であるWord・縦式で作られたデータであるという点に注目です。
更に「小説作り方マニュアル」では、Word・縦式以外に、一太郎やPages環境からの出力についても触れられています。

「この環境で作ったデータ、うちの印刷所ではこう出ますよ」という見本でもあります。
印刷所が出してくれてるのが有難ぇ~~~~~しかも「書体見本帖」なので、主要なフォントに触れてくれてて有難ぇ~~~~~

表紙用紙の話


表紙はいずれも特殊紙です。
booknext基準で書きますが、OKミューズきららはファンシーセット、およびイージーオーダーのファンシーセットプラン(いずれもサムネの背景がピンクのセット)で使えます。しこくてんれいはモノトーンセットで使えます。

しこくてんれいは和紙っぽい漉きが入ってる紙です。
モノトーンセットでしか使えない…っていうのもある意味正解で、紙の地を活かした使い方の方が絶対いい。絶対いい。カバーとかつけずにこれだけでいい。雰囲気。

OKミューズきららは、ほんのりきらめく黄色いチップが漉き込まれています。
これオンデマ印刷したらどんな感じになるんだろ。この本だと写真の通り黒1色で印刷されてるわけですが、しこくてんれい同様に紙の地だけで雰囲気がすごいんです。カラーじゃなくてもいいかんじだ…。

通常、たいていの印刷所のこういった資料の表紙って、アートポストにPPとかそういうのになってるんですけど、この本は上記の通り特殊紙です。
正直、実際に使ってみた見本をお出しして、「うわ雰囲気すご! 使ってみたい!」って気にさせるやつだ! これはやりたい!

本文用紙の話

こちらは共に「書籍用紙 淡クリーム」ですが、連量が異なります。
おそらく「淡クリームキンマリ」でしょう。最近印刷所はどこも用紙の正式名称を掲載してくれないので調査しにくいんですが、何か理由があるらしい。(正確な理由は知らないけど、それっぽい話をどっかで見た)
booknextだと、他社では良く使われている72.5kgが何故かラインナップにないんですよね。90kgの次がいきなり62kg。なんでだろ。栄光では90kgのみっぽい。

ともかく、その設定に合わせて、この本でもオンデマが90kg、オフセットが62kgです。
この本、内容が同じ=本文ページ数も同じなので、2つの紙の厚みの違いが目視で分かるし、めくってみた感触も全く違います。
ここは私が文章で書いても伝わりにくいので、是非実物で!
厚みの違いを写真撮ってみた。

書体見本帖レビュー

ではでは、中身を見ていきましょう!

掲載フォントの話

「書体」見本帖ですからね! フォントの話から入るね!
ユウ先生フォントの話好きだな! その通り!

掲載フォント数は19です。めっちゃ載ってる! ありがてぇ!
通販の説明ページに「本文向け」と記載がありますが、残念ながら本文用としては現在メジャーでないフォントがいくつか収録されてます。
私的に、この本に載っている中で本文に使うのをおすすめしないのは

  • HGP教科書体
  • 梅明朝
  • はんなり明朝
  • 小塚明朝

の4種です。

それぞれどういう点でおすすめしないかという話をすると、

HGP教科書体

ぶっちゃけコイツだけは「おすすめしない」よりは「使うな」レベルです(困惑)

はじめに、このフォントはプロポーショナルフォントです。雑に言うと「横書き用」。
文字間が詰まってしまって読みづらくなるフォントです。同様の理由でMS P明朝やIPA P明朝も使わない方がいいです。
こっちはまだ「使わない方がいいよ」レベルなので、無視してもらっていいです。

問題は次です。こっちは割とクリティカルな問題です。
このフォントはWordが入っていれば絶対入っている、いわゆる「ソフトバンドルフォント」で、制作元はリコーです。
リコー製フォントというのがちっと厄介で、「データを作った者」と「印刷所」の両方がライセンスを持っている必要があると言われています。
現時点で変更がなければ、WordにバンドルされているHG系フォントは「非商用利用のみ可」で、リコーにおいては「金銭収受がある場合すべてを商用利用と解釈する」ようです。
この「商用」という言葉に対する解釈はライセンス元によって異なるので、ここの項目で「商用ってそういう意味なんだ!」って覚えないでください。絶対。頼む。

同人誌に使う場合についてはフォントの同人誌使用についてのリコー問い合わせ内容全文 – Privatter を参照してください。
2015年に書かれたものですが、よほどのことがなければ変わってないはずです。

ってなわけで、私はこれに載ってても絶対勧めません

梅明朝

全体的に大ぶりで、かつ全体的に結構細めのフォントです。
細い点は好みがあるのでさておき、大ぶりとか、漢字とかなのバランスが縦書き用に調整されていないという点でおすすめしないフォントです。
「本文用」のフリーフォントがリリースされている現在、わざわざこのフォントを選ぶ理由はないように思いますね。

はんなり明朝

収録されているのは旧版のはんなり明朝です。が、旧版も新版も私自身はおすすめしていません。
旧版については、ボディ(文字を入れる枠)に対して入っている文字が小さすぎて、普通に組んでも字間が若干空きます。気になる人は気になる字間。(正確に字間ではないけど)

新版については、文字自体は大きくなっているんですが、縦書き時の文字バランスがおそらく考慮されておらず、文字の中心軸が左右にブレまくって見えます。私はそう見える。
なので、それが気になる人にはやはりおすすめできないって感じです。
これは新旧比較画像。

小塚明朝

一応Adobe公式的には「本文にも」とのことなんですが、この「本文」ってべつに小説のことを指しているわけじゃなくて、おそらく雑誌とかの本文のことを指している気がします。
更に、「縦書き」とも書いていない点を考えると…という感じです。
一応縦書き的な話をすると、小塚明朝は漢字と仮名のバランスを縦書き用に調整しているフォントではなく、かつ全体的に大ぶりです。
いわゆるモダン系っていうんですかね。そういう感じのフォントです。「モダン系」に分類されるフォントは縦書き用じゃないかっていうと必ずしもそうではないんですけど、向いてない場合がほとんどです。
まぁそもそも小塚ってAdobe製品入れてないと使えない(Adobe Fonts無料版では使えない)し、OTFなのでWord単体では埋め込めないので、そもそも候補に挙がること自体が稀なんじゃないかなって思います。

番外編1:錦源明朝について

錦源明朝、源暎ちくご明朝やしっぽり明朝と同じく築地五号という活字を参考にしてるフォントです。作者違いの同系統と言ってもいいでしょう。
このフォント、Lightしかなくて私主観では結構細くてちょっと見づらいんですね。オフセットだと相当細く見えるんじゃないでしょか。

現在は同作者からリリースされている「さらら明朝」の方が、個人的にはおすすめです。
錦源明朝と同じLightもあるし、少し太めのRegularなど、お好みの太さから選べます。
仮名部分は錦源明朝と同じく作者オリジナルの「錦明朝かな」なので、好みで選ぶといいかも。

番外編2:游ゴシックは?

「游ゴシックはおすすめしない項目じゃないんだ!?」って思った方もいると思いますが、そうです。私は別に使ってもいいと思っている。
ただ、全文を游ゴシックにする、のような使い方はあんまりおすすめしないです。

基本の本文組版設定の話

この本の書体見本の部分については、栄光/booknextで配布されているテンプレート(おそらく無線綴じ用「下左右1段組」)をそのまま使用して組まれているとのことです。
組版設定は、フォントサイズ8.5pt、余白設定が上15mm、下18mm、左右15mm、とじしろ8mm(=ノド23mm)、40字×16行です。
テンプレ見れば分かるけど、念のため。

文庫サイズだと良く商業文庫と比較されると思うので、私の調査内情報から色々。
まず、フォントサイズ8.5ptは大多数の商業文庫で採用されている12Qとほぼ同じサイズなので、ここに違和感はないでしょう。
もし違和感があるとすれば、それは多分フォントが異なるから(見慣れていないから)だと思います。

一歩飛んで先に字数と行数の設定についてですが、こちらも字数・行数だけ見れば商業文庫とほぼ同設定なので、やはり違和感はないと思います。
しいていえば、この本は下ノンブルで、本文位置が上ノンブルである場合よりも全体的に上に位置している(天付き)ため、レイアウトがメジャーでないという意味で違和感があるかもしれません。
余談ですが、下ノンブルの商業文庫も一部ですが存在します。
所持している中では星海社文庫のFate/Zeroシリーズが、下ノンブルかつ章タイトルがノンブル上=フッター2行という、他では見ないレイアウトになってました。

そして余白設定の話。
正直余白めtttttttttっちゃ取ってるな!???!??!!? って思いました。
ノド23mm、小口15mm。塗り足し込みなので実際はノド20mm、小口12mmです。
商業文庫や新書だと小口はだいたい12mmくらいなのでこの設定はだいたい一般的。レーベルによっては10mmくらいのとこもあるらしいですよ。
行送りはテンプレ見たら12.8ptだった。割合で言うと150%くらいですね。
テンプレ使うとき、この設定じゃ詰まってるな~と思ったら、余白設定の数字変えて、行間を変えましょう。個人的にはとじしろ8mm→5~6mmにするだけでも結構変わります。
なお私の小説テンプレ第1弾は42字×17行で行送り12.8pt、と、行送りの数字自体は書体見本帖と全く同じです。うちの方が余白少ない分、1行多いのであった。

超余談:テンプレの作り方の話

実は栄光/booknextって他社と異なるテンプレの作り方をしてます。
他社だとだいたい「複数ページの印刷設定」の「印刷の形式」を「見開き」にしろ、って書いてあるんですけど、栄光/booknext製テンプレは「標準」のまま、「とじしろ」設定を入れることで見開きにしています。
「とじしろの位置」が「左」になってますがこのままでいいんだと思います。Wordくんは横書きが基準だからな。
ちなみに私は同様の作り方をしようとしてやめたことがあったような。何でだっけ。理由は忘れた。

余白と行間の作例

これ、以前レビューしたねこのしっぽの文庫サンプルに、文字サイズと行間違いの見本が掲載されていたのですが、この書体見本帖にも設定違いの見本が載ってます。
この作例には、縦式からの出力設定も載ってますので、縦式ユーザーの人は参考にしてみてください。

Wordに関しては、「余白と行間違い」と書いてあるのですが、多分文字サイズも違ってます。
何故なら、この↓2種、明確に文字サイズが違う。
左は見本1つめの字数38のもの。右は見本2つめの字数43のものです。

おそらく、「字送り」の設定と同じフォントサイズになっていることでしょう。
つまり、38字の方は文字サイズ8.95pt、43字の方は8.1ptなんじゃないかな。
個人的には同じ文字サイズで異なる余白・行送り設定で見比べたい人もいるんじゃないかな~と思ったけど、これはこれですごく参考になると思います。

奥付フリーテンプレート集

ついに! 印刷所発の奥付テンプレが! 出ました!!
栄光さんは同人誌作成上の注意点>発行責任と奥付という記載をサイトに載せてます。
が、どこの印刷所を探しても、小説本文のテンプレはあるのに、奥付のテンプレを配布しているところは無かった。
以前私はnoteに「奥付必須って言ってる割に、奥付のテンプレ置いてる印刷所が無い」って書いたことがあり(現在該当記事は非公開)、その話をTwitterでもしてたのですが、探し足りなかったのかと思ったけど「あるよ!」って情報提供もなかったので、おそらく無かったと思います。多分今回の栄光さんのテンプレが初じゃないかなって思うけどいかがでしょ。
今回この本にこれが収録されてるのを見て、正直「あれを見た人が社内にいるんじゃねぇか?」って思いました。可能性、なくはないぞ。
念のため言っとくと、奥付書いてって言ってた印刷所は他にもあった(はず)なので、特定の印刷所だけを指していた訳ではなくて、テンプレ置いてる印刷所全体に対して思っていたことです。

テンプレデータについては、本文テンプレ同様にWordデータで作られています。1種類だけ縦式で作った奥付もあり。
Wordで作れる範囲ではありますけど、シンプルなのから凝ってるものまで。
データだけでなく、本の方に「奥付に何を書くべきか」をきちんと書いてくれてるので、迷わないと思います。
あと、配布されている奥付テンプレには、奥付の中にあとがきを書く欄を置いてくれてるものもありますよ。
再度書きますが、これを印刷所が作って配布してくれてるという点がポイントです。「このデータでうちに入稿出来ますよ」保証ですからね。

感想文:テンプレは印刷所のサービスだな

同人印刷は、一般的な印刷所でやってくれるあれやこれやを削ることでコストを削減し、自費出版とは思えない価格で印刷物を提供してくださってます。同人誌は自費出版。自費出版って実はすげー高いんですよ、ぐぐってみるといいです…目玉転げますよ…
コスト削減の代表例が「完全原稿」です。私は同人印刷や印刷通販で初めて印刷物を刷ったので後から知ったことなのですが、一般の印刷所って原稿も作ってくれるらしいんですね。PTAの広報の人とお話してた時に、市内の大きな学校の広報の経験がある人が教えてくれました。どの程度原稿を作ってくれるのかまでは分からなかったんですが、「作ってくれるんだ…!?」って衝撃だった。
これを考えると、同人印刷各社が表紙のテンプレや本文のテンプレを作ってくれてるのって、あくまでも印刷所がサービスでやってくれてることで、本来は「規定に合う原稿はデザインや記載内容まで込みで自作しなければならない」わけなのです。
上で「奥付必須って言ってる割に」って話を書いた時にはまだこのPTA広報の話を聞く前だったのもあり、「何で小説本文のテンプレは置いてるのに奥付のテンプレは無いんだ…」って本気で思ってました。テンプレ作るにも時間がかかり、時間がかかる=人件費がかかるってこと、テンプレ作ってる自分がいちばんよく知ってるはずなのになぁ…と後から思いました。反省。
そんなわけなので、栄光/booknextさんが小説本文のテンプレを刷新したり、奥付テンプレをこの本のオマケで配布してくれたり、…等は印刷所が「使ってもらうためにやってること」のひとつなんじゃないかなぁと思った私でした。

オンデマ版とオフセ版、ここを見よ!

ここまでは掲載内容そのものに触れてましたが、ここからはオンデマ版とオフセ版の見比べポイントを書きます。

オフセットとオンデマンドは印刷形式そのものが異なるので、印刷結果も異なります。
一般的に、オフセットとオンデマンドだとオンデマンドの方が線が太って見えやすいと言われています。
オフセットはインク、オンデマンドはトナーなので、そういった違いでも見え方が異なると思います。

この2冊の目視では、オフセットとオンデマンドだと、オンデマンドの方が濃くは見えますが、文字の輪郭自体が全体的に「太っている」とは感じませんでした。
但し、気になる点もあります。ここ↓

ヒラギノ明朝のページです。左がオンデマ、右がオフセット。
「勢」の字が、若干ですが太く見えます。但し私の目視、主観によるものです。
おそらく環境やフォントのせいではないと思います。くっきりとそうとは言い難い写真なので、これも実物を見て欲しい。
例としてこの字のところを挙げましたが、他にも周りよりも太く、あるいは濃く見える箇所があるかもしれません。

この現象はオンデマだけです。オフセットではおそらく起こらないと思います。
ご依頼で私が本文データを制作し、栄光のオフセットで刷られた本が手元にあるのですが、自分で目を通してもそういったことはなく、ご依頼主様からもそういった報告はなかったので、おそらくないでしょう。

同様にご依頼で私が本文データを制作し、booknextのオンデマンドで刷られた本の中に、同様に…こちらの場合結構くっきりはっきりと「周りよりも太く、濃い」と感じる箇所があったのでご紹介します。
この現象は今のところbooknextでのみ確認しています。他社で刷られた本では確認していません。
写真をどうぞ。

左はbooknext、右はコミックモール。明るさ違って申し訳ない。比較しづらいですね。
どちらも私が作ったデータ=同一環境(InDesign)、同一設定で出力したもので、同じ本文フォント(筑紫Aオールド明朝)を使用しています。
フォントサイズも12Qで一致しています。
booknext側は心の字が太くなっています。写真だとちょっと分かりにくいのですが、実物だとハッキリ太く出ています。
これ以外だと、皺、繊、織、蹴あたりの字が太めに見えてます。
写真はありませんが、念のため同じく本文フォントが筑紫Aオールド明朝である、完全に別の環境(私ではない人が作っている)、別の印刷所で刷られた本で「心臓」の字を探して確認しましたが、太くなっている、とは感じませんでした。

参考までに。
私も1回booknextでサンプル刷って確かめてみるかなぁ…?

小説作り方マニュアルレビュー

続いて、書体見本帖を購入するとおまけでついてくる「小説作り方マニュアル」のレビューです。
表紙には「小説を初めて作る作家様向け」と記載されてますが、作ったことがある人にも大変参考になる1冊だと思います。

どういうことが載ってる?

表紙に記載があるとおり、基礎用語の解説から入って、各ソフトでの初期設定やPDFの書き出し方法などが載ってます。
基礎用語ってのは、書籍の各部位の説明とかみたいな、基礎も基礎の話です。

更に、「印刷工程上必要な確認事項」に加えて、「小説同人誌でありがちなことに対する確認事項」も記載があります。
たとえば、「ダッシュが正しく回転しない」とか「カギカッコがズレてる」とかそういう。

初期設定やPDFの書き出しについてはスクショ入りで説明が書いてあります。
booknextは特にiPhone・iPad環境からの入稿もサポートしているので、この本とbooknextの説明を読めばスマホ・タブレット環境だけで全然いけると思いますね。

注目ポイント

この本のほとんどが初期設定やPDFの書き出し方法ではあるのですが、ここが凄いなって思ったのが、

  • ダッシュの処理
  • 縦中横
  • ルビ

と、小説本お悩み御三家(勝手に)の処理方法に触れられていることです。
処理方法自体はWordでの説明のみですが、後ろふたつはWord特有の問題みたいなもんなので。

個人的には「縦中横」前後に謎の隙間が空く問題を解決してることでしょうか!
これ、Wordの諸問題解決記事を書く時に書きたかった内容、未調査項目のひとつだったんですが…!
見て!

1枚目が縦中横する前、2枚目が縦中横直後、3枚目が今回この本で見た解決方法を実行したもの、です!
凄いじゃないですか!
この方法、この本の14ページに載ってます! 見といて!

ルビ振った時に行間空いちゃう問題はうちにも記事あるんで見てくださいね!
(記事が古すぎるのと分かりにく過ぎるので、書き直してもっと分かりやすくする予定! お待ちください!)

おわりに

いやーーーー、みなさん。

買いですよこれは。

3回目ですが、この本は有志が制作した本ではなく、印刷所が「よく使われている形式のデータ」を作り、「よく使われているフォントが入ったデータ」で印刷してくれた資料っていうのが重要です。
栄光/booknextを利用予定であれば間違いなく購入して見てみた方がいいですし、(申し訳ないけど)他社を利用する場合でも役に立つ情報もたくさん入ってます。
推せます。
多分今後も小説同人誌向けのあれこれを充実するんじゃないかな~~~と思ってるので、私も注目しております。

てな訳で、めっちゃ長々と書いてしまいましたが、皆様の参考になれば幸いです!

引用

サムネに使っている書体見本帖および小説本作りマニュアルの画像は、moku×mokuの通販ページのお写真を使用いたしました。
(自分でも撮ったけど上手いこと撮れなかったので………)

よろしければ

今後ともまとめを作っていきたいと思います。
ご支援いただけると励みになります~よろしくお願いします!
(匿名メッセージは現在閉じております。何かございましたらTwitterDMへください)